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創業・立ち上げ

No-Codeによる業務基盤:ミニマムDX

エンジニア不在でも作れる、最強の顧客管理システム。

編集部編集部
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Executive Summary

  • 結論1:高いSaaSを導入する前に、自社の業務フローを固めろ
  • 結論2:AirtableとMakeがあれば、月額0円でATSは作れる
  • 結論3:DXの目的は「楽をすること」ではなく「データ資産を残すこと」

創業期(Stage-1)の経営者がやりがちな失敗。それは、まだ売上もないのに、高額な人材紹介システム(PORTERSやHRBCなど)を入れてしまうことです。 確かに専用システムは高機能ですが、月額数万円の固定費がかかる上、機能が多すぎて使いこなせず、結局Excelに戻ってしまうケースが後を絶ちません。

Stage-1で必要なのは、重厚長大なシステムではなく、「自分の手で修正・改善できる、軽くて柔軟なシステム」 です。 本記事では、エンジニアがいなくても構築できる、No-Code(ノーコード)ツール を活用したミニマムDXの実践方法を解説します。

Excel管理からの脱却:リレーショナルデータベースの威力

多くの創業者がExcelやスプレッドシートで候補者管理を始めますが、すぐに限界が来ます。「面談履歴」や「求人票」など、複数のデータが絡み合う管理には向いていないからです。

ツール特徴Stage-1での判定
Excel / Spreadsheet表計算ソフト。リスト作成は簡単だが、データ間の連携ができない。×(すぐに破綻する)
専用SaaS (PORTERS等)高機能だが高価。カスタマイズに費用がかかる。△(まだ早い)
No-Code (Airtable)Excelの手軽さ + DBの拡張性。UIが綺麗でスマホでも見れる。◎(最適解)

Airtable(エアテーブル)で作る自社製ATS

Airtableを使えば、「候補者一覧」「企業一覧」「選考ステータス」という3つのテーブルを簡単にリンクさせることができます。 「Aさんの面談記録を開くと、過去に紹介した企業の履歴が自動で表示される」といったビューが、ドラッグ&ドロップだけで作れます。まずは無料プランで十分です。

Zapier/Makeによる定型業務の自動化

データを入れる箱(Airtable)ができたら、次は「作業の自動化」です。 iPaas(アイパース) と呼ばれる連携ツール(ZapierやMake)を使うと、異なるアプリ同士を接着剤のように繋ぐことができます。

創業期に実装すべき3つの自動化レシピ

  1. 媒体取込の自動化

    • Trigger: Gmailに媒体(ビズリーチ等)からの応募通知が届く
    • Action: ChatGPTで本文を解析&要約 → Airtableに自動登録 → Slackに通知
    • 効果: 転記作業ゼロ。スマホへの通知で即レスが可能に。
  2. 面談リマインドの自動化

    • Trigger: Googleカレンダーの予定24時間前
    • Action: 候補者のLINE(またはメール)にリマインド文面を送信
    • 効果: 面談ドタキャン率の激減。
  3. 日報の自動生成

    • Trigger: 毎日19:00
    • Action: Airtableの「今日の面談数」「スカウト返信数」を集計 → Slackに報告
    • 効果: 集計作業からの解放。
Note

Note

Make(旧Integromat)の推奨 Zapierは有名ですが、コストパフォーマンスと自由度は後発の Make が圧倒的に上です。 無料枠も広く、複雑な分岐条件(もしAならBをする、CならDをする)も視覚的に作れます。まずはMakeのアカウントを作りましょう。

開発費ゼロで始める「データ経営」の第一歩

DX(デジタルトランスフォーメーション)の本当の目的は、業務を効率化することだけではありません。 「意思決定に必要なデータが、常にリアルタイムで見られる状態」 を作ることです。

Excel管理では、「今月の面談数は?」「媒体別の決定率は?」を知るために、いちいち集計作業が必要です。 しかしNo-Codeで基盤を作っておけば、ダッシュボード機能でこれらの数字が自動的に可視化されます。経営者は集計作業から解放され、「数字を見て考えること」に集中できます。

Warning

Warning

「ツールおたく」にならない No-Codeは楽しいので、つい複雑なシステムを作り込んでしまいます。 しかし、目的はあくまで「売上を上げること」です。 「自動化のために3日かけて、短縮できたのが月10分」では意味がありません。「月に10回以上繰り返す作業」 だけを自動化の対象にしてください。

まず明日やるべきこと:3ステップアクション

Step 1: Airtableのアカウント作成 テンプレートを使わず、自分で「候補者管理ベース」を1から作ってみる(1時間でできます)。

Step 2: 「嫌いな作業リスト」の作成 「メールのコピペ」「リマインド送信」「日程調整」など、自分がやりたくない定型業務を書き出す。

Step 3: Makeで1つだけ自動化する 一番簡単な「メールが来たらSlackに通知する」あるいは「応募があったらAirtableに入れる」というbotを作ってみる。

エンジニアがいなくても、あなたのアイデア次第で「自分だけの最強の秘書システム」は作れます。それがNo-Codeの革命です。

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